晩秋。
萱葺き民家の裏山も紅葉の盛りを過ぎ、
次第に冬の足音が近づいてきました。
たまにおだやかな日和が訪れ、
陽だまりでうとうとしていても、すぐに影が忍び寄ってきて
気がつく頃には夕暮れがせまってきます。
農地も収穫が終り、
とんぼも、セミも、カエルたちもすっかり姿を消してしまいました。
その昔、村は炭焼きで活気があふれていたそうです。
あたり一帯の里山はスギ、アカマツに混じってナラ、クリ、カシなどが群生し、
美しい雑木林がそんな時代があったことをひっそりと伝えています。
村の人に教えてもらい、炭焼き小屋をたずねたこともありますが
山の中に一軒、ぽつりとたたずんでいました。
燃料に薪や炭を使うことがなくなり、
山が人々の暮らしを支える使命を終え、
次第に山に人の手が入らなくなった、と聞きました。
山の「自然を守るとはどういうことか」。
本当は野放しにするのではなく、
枝打ちや間伐などによって人為的に自然のリサイクルを助けながら
人と自然が共存することだと、守山弘さんの名著が伝えています。
日本の多くの疲弊した山村で、
人と山が共存していた時代に戻るのは、
もはやかなわぬ夢、なのでしょうか・・・。