茅葺き屋根の家が減った。
葺き材の茅がなくなったからではなく、
維持管理に労力を要するから、と言われています。
茅屋根は寿命が長いよし葺きで50〜60年くらい。
すすきも比較的寿命が長い葺き材とされています。
すすきやよし葺きの1/3の寿命が麦わら葺きの、
その1/3が稲わら葺きの寿命とも言われ、
わら屋根はほぼ10年ごとに総葺き替えが必要、
となります。
この葺き替え作業は村における相互扶助の慣行として行われ、
年中行事として毎年1〜2軒が葺き替えの対象、
となっていたようです。
私が過ごしている民家は建坪40坪くらいですが
屋根面積は、ざっと倍の80坪。
そして、一度に葺き替えた場合は
屋根面積のおよそ5倍から10倍の茅場が必要、
と聞かされただけで
葺き材そのもののボリュームの大きさが想像できます。
林業に見切りをつけ、山を下りた人が増え、
農村でも若い働き手が減り、
過疎化により山村が疲弊しているのは
日本中にある光景ですが、
草屋根を維持する活力も同時に衰えていきました。
古くからある家でも
次第に金属屋根や瓦屋根に葺き替えられ
ここ福島の里山でも
草屋根の家は数えるほどです。
かっての日本の建築文化はすなわち農耕文化。
里山の「木と土と草の家」をモデルとした家づくりを考えていく上では
日本の農林業、特に山を豊かにさせることが
日本の建築文化を豊かにするために欠かせない、
とつくづく思うこの頃です。