ニッポンの夏。
麦わら帽子、入道雲、背たけを超えるヒマワリの花・・・
田舎に来るといたるところに「日本の夏」の風景があります。
ここ、茅葺き民家の2階の窓からは田んぼが一望でき、私のお気に入り。
田んぼを渡るみどりの風が実に心地よい・・・
夏に限っていえば、草葺の家ほど快適なものはないといえます。
気密性能に走り、真夏でもオーバーを着込んだように断熱材に覆われた最近の家。
クーラーで冷やした空気を外に逃がすまい、と必死に断熱材を着込んでいるようです。
兼好法師が見たらどう思うやら・・・
その点、草屋根の家は麦わら帽子をかぶっているようで、
夏を旨とした家づくりの理にかなっています。
「クールビズ」など新語を使わずともその精神は日本の風土に古くから根ざしたものです。
そう、
「シエスタ」
などとカッコつけずに
「昼寝」
と言えば十分に日本人のシアワセ感覚が伝わってきますよ、ね。
川内村の夜。
川にはホタルが飛びかい、
夜空には天の川が流れます
そして静まり返った村のあちこちの家から
家族のだんらん、明るい声が聞こえてくるようです。
昔の家づくりを通じて学ぶことのひとつに「地産地消」の考えがあります。
地元産の材料を使い、地場産業を振興させるという意味があります。
「日本の家づくりは日本の木で」
をスローガンを掲げて家づくりに取り組む人が増えてきました。
ところが日本の林業は衰退し、外来木材を消費しまくっている、というのが現実です。
今、民家のいろりの火を囲みながら
林業家でもある「里山探検隊長」の話に耳を傾けているところ。
燃料の薪は近くの山で伐り出された間伐材。
間伐材は木炭にすることでさらに優れた燃料として重宝されました。
いろりの煙は薫煙(くんえん)作用により草屋根の耐久性を高める役目も果たしました。
山を守ることで林業はもとより、村の農業も、家づくりの文化も、秩序を保っていたのが、
木資源を燃料として使わなくなった頃から次第に山が荒れ始め、
その帰結として、いろりも、炭焼き小屋も、きこりも、茅葺き屋根も、
そしてなによりも村の、日本の地方の活気が消えてしまったそうです。
「民家の学校」で教わったこと、
それは「いい家・いい環境」をつくるには山を元気にすることだ、ということです。