昭和42年、小学三年の社会見学の授業で羽田国際空港に全クラスの学童そろって行きました。
こどもたちにとって、「ひこうきにのってがいこくにいく」のは夢のような話です。
本物の「そらとぶひこうき」が目の前の滑走路から離陸して大空に羽ばたく姿を見たときの感動は今でも忘れていません。
今日の散歩の最後は東京港野鳥公園。
公園は昔、東京湾の浜辺だったところにあり、
当時の環境を再現してところどころ干潟になっています。
私が訪れた11月3日は、冬鳥がやってくるにはまだ時期が早いようで、
干潟で遊ぶ野鳥はかぞえるほどでした。
干潟の向こう岸は埋立地に群立する物流倉庫やコンテナの集積を見ることができ、
ここが羽田空港の近くであることを実感します。
そして倉庫建物の陰から離陸して機首を上げたジェット機が
飛び立つ姿がほぼ5分ごとに見ることができます。
2020年に世界を襲ったコロナのため、世界の空を飛ぶジェット機の数が激減しました。
このため、ジェット燃料の消費は激減し、その結果世界の空気が劇的にきれいになりました。
人類の誰もがなし得なかった地球温暖化抑止に向けた処方箋を、コロナが明示した衝撃は大きいものがあります。
5分おきに飛翔する旅客機の姿を見ると、また少しずつもとの日常に戻り、脱炭素達成が遠のきます。
それと共に、羽田の干潟にやってくる野鳥の数が激減するようなことがあると、
いよいよ私たちの住む地球は脅威の惑星と化し、
世界は家を追われた流亡の民であふれるのではないでしょうか。
現代の先進諸国の人々は、果てしなく快楽を欲求します。
その欲求の「本質」を変えない限り、
人類は地球滅亡の恐怖から逃れることはできない、と私は考え続けます。
「そらとぶひこうきにのってがいこくへいく」少年少女の夢は、 ダビンチのように野鳥の翼に託した「ルネサンス」時代に戻って、 地球の「再生」「復活」を夢見る道があってもいいのではないでしょうか。
2021年 11月