私は建築設計の仕事をしています。 この仕事に従事してから、まもなく40年を迎えます。
コロナで日常の風景が一変した世界。
明日は、来月は、来年は・・・、と思っても未来の社会像を
思い描けずにいます。
今できることは静かに見守るしかないと立ち止まっています。
コロナは静かに考える時間を与えてくれたのかもしれません。
コロナ禍を契機に「立ち止まって、ものごとを根本的に考え直すいい機会だ」と呼びかける人がいます。
私は建築設計に従事する立場から
「環境問題を根本的に考え直すいい機会だ」
ととらえています。
環境問題の根源は多岐にわたり、複雑な事情が絡み合うグローバル問題です。
国内では1960年代の高度成長と歩を合わせて
大気汚染や河川の水質汚染をもたらした「公害」
が頻発しました。
この頃から環境問題は身近な問題として取り上げられるようになり
今日では地球温暖化は行き過ぎた人間活動が招いた重い代償だ、
といわれるほどの問題になりました。
この重い課題を考えるには、
長い時間と多くの困難が伴い、
相当な覚悟が必要だけれども、
コロナ後の時代が見通せない今こそ考えるいい機会と感じています。
建築は経済・環境と密接に関わります。
建築行為は直接・間接を問わず環境に負荷を与えます。
建築のために森を伐り開き、山を削り、おびただしい量の廃棄物を残します。
また、建築の生産・利用・廃棄・再利用の過程においておびただしい量のエネルギーを消費しCO2を排出します。
日本は資源に乏しくエネルギー自給率が1960年代初頭をピークに下降の一途をたどった事情もあり、
海外から輸入された資源の恩恵を受けつつ、復元力を超える重荷を地球環境に負わせてきた、といえるかもしれません。
この延長線上に未来の展望を拓いていいのだろうか・・・?
これからの循環型・脱炭素社会像を思い描きながら、この複雑で難解な「環境問題」に根本から向き合おう、と思うこの頃です。
[ SDGsを考える ]