川は流れる橋の下

 只見川は尾瀬沼を源流とする一級河川である。
 尾瀬沼から流れ出る只見川は奥只見湖(ダム)を経て田子倉湖(ダム)あたりからJR只見線がその上を縫うように走り、 喜多方市山都付近でやはり南会津を源流とする阿賀野川に合流し、 山間を蛇行しながら新潟市から日本海に流れ出る。
 奥只見ダムと田子倉ダムは貯水量において国内第2位、3位にあるというから、 水源からの豊富な流水量は推して知ることができる。
 加えて上流域に聳える山々からの流入量も相当であろうから、 只見川はいつも並々と水をたたえている。 流域のいたるところに架かる鉄橋はJR只見線であり、 その下を只見川が悠々と流れてゆく。

震災そして水災

 2011年3月の東日本大震災による復興があゆみはじめた頃、 7月の新潟・福島豪雨で只見川が氾濫し、 只見川に架かる鉄橋の流失や、 土砂崩れによる線路の崩壊などJR只見線は寸断され、 甚大な被害が発生した。復旧に着手したのは2018年頃で、 現在只見線は2022年度中の全線復旧へ向け工事が進められている。
 震災からの復興も水害からの復興も10年以上の歳月を要する。 被災された方々には苦しく長い歳月である。
 思えば、この年から記録的な自然災害が頻発したように思える。

2014年8月広島豪雨、9月御嶽山噴火、
2015年9月関東・東北豪雨、
2016年4月熊本地震、
2017年7月九州北部豪雨、
2018年7月西日本豪雨、9月北海道胆振東部地震、
2019年(令和元年)9月台風15号、10月台風19号、
2020年(令和2年)7月豪雨、
2021年(令和3年)7月伊豆山土砂災害・・・

 これら自然災害による被災者のうち、 未だに生活再建のめどが立たない方々が何名おられるのか、 正確なところが発表されていないのが気がかりである。

 2020年7月豪雨により球磨川が氾濫し、浸水被害が発生した。 このとき、ダムによる治水の是非をめぐって行政側の判断が揺れたことも記憶に新しい。 治水対策に最適解はないようにも思える。 解を見出せないまま、地球温暖化は粛々と進む。

 もはや、対策は「待ったなし」だ。

2021年 10月

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