地球をあたためる話 2021

世界潮流 [SDGs] を考える

SDGs
"Sustainable Development Goals"

和訳すると、
「持続的可能な開発目標」

 現在この目標に向けて世界中の国・地域の人々が会議を開いて活発に議論を続けている。 つまりこういうことである。

 有史以来、人為的起源によるCO2の発生量が、特に産業革命以降、爆発的に増加し、 その結果、地球規模の気候を変動(温暖化)させ、 干ばつ・暴風雨・洪水といった異常気象となって人類はおろか、 地球上のあらゆる生態系が存亡の機にあるとか・・・。
 ウソではない。 サンマの不漁という身近な危機が迫っているではないか。
 この危機を回避するために残された時間はわずかで、 今すぐ危機回避に向けたアクションを起こそう、と会議は呼びかける。

脱炭素・脱コンクリート・脱石油化学建材・脱原発・脱電力依存

 では、どうすれば良いのか。 ここのところで議論が沸騰、世界中の国・地域の利権が交錯し、なかなかまとまらず、全会一致の合意形成に至らない。

 そこで私は考える。 では、どうするのか。 建築家である私の考えは簡単だ。 有害なCO2発生をゼロに近づけるための具体的行動は、

1. コンクリート、鉄鋼、アルミ、ガラスおよびガラス二次製品を使わない
2. 石油化学製品をつかわない
3. 電気エネルギーを可能な限りつかわない
4. 電源構成において原子力エネルギーはいらない、つかわない

ということになる。 どれもこれも現実と照らすと限りなく不可能に近い。不可逆的である。 だからといって見過ごしていいのだろうか。
 日本国内の建設関係者、ならびに公共工事を発注する国・都道府県以下各地方公共団体の長に問いたい。 残された時間はわずかである。 たとえ、あなた方がアクションに躊躇しても私はやる。私一人が離反したところで経済成長の足かせにはなるまい。
 私は、そういう覚悟で、私自身が考えるやり方で、SDGs に取り組む所存である。

その「省エネ」が「増エネ」につながる

 建築界をとりまく状況について補足すれば、 国も業界も「省エネルギー法」の強化によって、地球的規模の難題に取り組んでいる。 その目玉政策が「建築物の高気密高断熱化」(以下「省エネ政策」)である。 それはそれで結構。
 しかし、である。
現状においては政策をゴリ押しすればするほど、

・断熱サッシ(アルミ、樹脂製、または両者のハイブリッド製)の増産〜廃棄の連鎖

・断熱Low-Eガラス、二重三重ガラス化によるガラスの増産〜廃棄の連鎖

・石油化学製品由来、ガラス建材由来の断熱材の増産〜廃棄の連鎖

・LED照明器具など省エネ電化製品の増産〜廃棄の連鎖

・・・を促し、これら工業製品の製造段階におけるCO2発生が増大し、 短期的に人為起源のCO2発生は抑制されるどころか、 増大する一方ではないでしょうか。

エネルギー浪費の巨大都市空間

 そこにもって。 東京都心部では、相変わらず、官民一体となったスクラップ アンド ビルド政策が推進される一方である。
丸の内、常盤橋、日本橋、大手町、虎ノ門・・・
 これは一体どういうことなのか。 その巨大プロジェクトに係る、

・巨大な建物基礎、地下空間構築による掘削、建設残土の大量発生

・プロジェクトに投入する大量のコンクリート、鉄鋼、アルミ、ガラス、 石油・鉱物資源由来の建設資材

・エスカレーター、エレベーター、空調換気、ポンプ等増産・増設による大量の製造過程CO2、 ならびに運転動力・電力負荷の増大

・空調、照明、デジタル推進によるOA機器等による消費電力の増大

・これら建材、搬送設備、 電気・空調換気設備等の定期的更新・維持管理に伴う廃棄、再生産・再調達に係るCO2発生

・・・省エネ政策と都市再開発事業を奨励・促進するほど、 ますます脱炭素・CO2ゼロが遠のいていくのではないか、 と懸念するのは私だけだろうか。
 「省エネ法」は環境庁が所轄して持続不可能な開発にブレーキをかけるべきだと思うのだが、 実態は経済産業省の管轄で、目的はGDP成長ゴールと地球温暖化に向けてアクセルをふかすものだ。 省庁間に不和がある。

都市再開発事業 容積率緩和の愚

 私は、改正省エネ法に従ってこれまで建築物の設計をやってきた。 しかし、ここまで述べたように、政策には矛盾がつきまとう。 一体全体、何のための省エネ法か?
 私は言いたい。 都市再開発推進も結構だ。
しかし、だ。
 規制緩和と称して「容積率緩和」によって都市部の総床面積は増える。 床面積の増加は消費エネルギーの絶対量増加に間違いなく連動する。
 消費エネルギーが増加すればあきらかにCO2発生は増加する。
 このことからみても明らかなように、 もっとも単純明快な目標は「消費電力を限りなくゼロに近づける都市政策」だ。 その都市政策を世界に向けて立案できるか。それが世界会議で問われている。

SDGs 私の結論 「建てない」のがいちばんいい

 私は現在、2020年に「長期優良住宅」を完成させたのを最後に設計活動を自粛している。 なお、すでに建ててしまった建築物について、「コンクリートを使うな、アルミを使うな」などと我説を強いるものではない。
 コンクリートも貴重な資源である。 港湾や橋梁、医療・福祉施設など公共性の高い構築物を優先して長寿命化を図りつつ周到に使うことには異論はない。
 既存建物については、取り壊すことなく、とりまく環境が許す限り、修繕を繰り返しながら、いつまでも大切に使い続けていただきたい、と切に願っています。

建築と私の履歴 2003-2021年

「SDGs を考える」のページへ

Modern Living 1957「地球をあたためる話」